グループで分ける建設業の運送許可と更新制|最終回

建設業 運送許可 を、別の会社で持っている。本体は建設業で自家用ダンプ(白ナンバー)、関連会社が一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)。この形は、岩手の建設業ではめずらしくありません。

本シリーズで扱ってきた許可更新制は、このうち緑ナンバーの 運送許可 を持つ会社にかかります。ただし白ナンバー側が無関係になるわけではありません。この記事では、建設業と運送業を分けている会社から見たときに、更新制がどこに当たるのかを整理します。あわせて、建設業者がすでに持っている5年更新の許可と並べて眺めてみます。

株式会社石名坂も同じ形です。土木工事・砕石砂利販売・除雪を行い、運搬は自家用ダンプ。関連会社の有限会社石名坂商事が一般貨物自動車運送事業と産業廃棄物収集運搬業の許可を持っています。他人事として書ける立場ではありません。

建設業と運送許可をグループで分けている形。白ナンバーの建設会社は更新制の対象外、緑ナンバーの運送会社が5年更新制の対象となることを示した図

建設業と 運送許可 を別の会社に分けている形

まず、どちらの会社に 運送許可 の更新制がかかるのかをはっきりさせておきます。

貨物自動車運送事業法に新設される第6条の2(許可の更新)の対象は、一般貨物自動車運送事業と特定貨物自動車運送事業の許可です。自家用(白ナンバー)で、許可を要しない範囲の運搬を行っている会社は、許可を持たないため更新制の対象にはなりません。どこまでが許可不要の範囲かは、後述の事務連絡の判断軸によります。更新制の対象になるのは、緑ナンバーの 運送許可 を持っている側の会社です。

もうひとつ押さえておきたいのは、別法人にしている以上、本体から関連会社に運送を頼めば、制度の上では荷主と運送事業者の関係になるという点です。国土交通省のQ&Aも、グループ会社間の車両の貸賃について、親子関係にある会社間であっても法人格が違えば自家用とはならないのか、という問いに対し、「親子関係にある会社間であっても、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する場合は、法の許可が必要」と回答しています(資材・骨材関連事業Q&A 20、令和8年〈2026年〉3月31日時点)。グループ内かどうかで線が引かれているわけではありません。

荷主の立場に立つことの意味は、本シリーズ第2回で扱った「運賃と許可がつながった」という話に直結します。ここでは制度の重なりだけ示して先へ進みます。

建設業者は、5年更新の許可をすでにいくつも持っています

運送許可 の更新制は、建設業に携わる会社にとって、まったく未知の仕組みというわけではありません。すでに手元にある許可の多くが5年更新です。

許可・登録有効期間・更新周期根拠
建設業許可5年建設業法第3条第3項
産業廃棄物収集運搬業許可5年(優良認定を受けた更新は7年)廃棄物処理法第14条第2項(期間は政令に委任)
特別管理産業廃棄物収集運搬業許可5年(優良認定を受けた更新は7年)同法第14条の4第2項(期間は政令に委任)
一般貨物・特定貨物自動車運送事業許可5年(新設。施行日は未定)貨物自動車運送事業法 新第6条の2、第35条第5項
採石業者登録有効期間・更新の規定は確認できず(変更届・承継届・廃止届のみ)採石法(該当規定を確認できず)
岩石採取計画の認可岩手県では6年以内(跡地整理期間を含む)岩手県採石法事務取扱要領(令和7年〈2025年〉8月)
建設業許可、産廃収集運搬、特別管理産廃、そして運送許可がいずれも5年更新であることを並べて示した図。運送許可がこれから同じ列に加わる

図:建設業者がすでに持っている許可と同じ5年周期に、運送許可が加わる

表について2点、断っておきます。産廃・特管産廃の許可は、法律上は「一年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う」と定められており、具体的な年数は政令に委ねられています。5年(優良認定を受けた更新は7年)という運用は広く案内されているものの、その根拠となる政令の条番号までは原文で確認できていないため、表では法律の条番号にとどめました。

採石業者登録については、採石法および岩手県採石法事務取扱要領を確認した範囲では、有効期間や更新の条項が見当たりませんでした。「規定がない」と積極的に述べた一次資料までは確認できていないため、実際の取扱いは所管(広域振興局保健福祉環境部)へのご確認をおすすめします。

建設業許可の更新について、岩手県は有効期間満了日の2か月前から受付、30日前までの申請と案内しています(岩手県「許可後の注意事項」令和7年〈2025年〉12月)。運送許可 の更新も、いずれ同じ期限管理表に載ることになります。ただし、その時期や申請期間を定めた省令はまだ出ていません(2026年9月9日時点)。

制度ごとに、更新の「重さ」が違います

同じ「5年更新」でも、制度によって設計はかなり違います。対照的な2つを並べてみます。

建設業は更新の局面をやや緩やかに扱い、産廃は更新のタイミングで従前の許可ごと取り消す。運送許可 の更新がどちらに近い設計になるのかは、現時点では分かりません。第6条の2第5項が第4条から第6条までを準用するとしか定められておらず、運用を示す省令・通達が確認できないためです。

もうひとつ、期限管理そのものに関わる話を添えておきます。建設業許可事務ガイドライン【第7条関係】4(2)③には、「許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有する者」という文言があります。更新を一度落として許可が切れた期間があると、この「継続して営業した実績」を満たさなくなると読めます。取り直すときには、自己資本500万円などの財産的基礎を改めて証明することにもなります。更新期日の管理が、そのまま要件の充足に直結する構造です。

産廃の更新で見られる「経理的基礎」

産業廃棄物収集運搬業の更新では、財務が正面から見られます。「経理的基礎」と呼ばれる要件です。

国(環境省)の通知は、事業を的確かつ継続して行うに足りる経理的基礎について、「利益が計上できていること又は自己資本比率が10パーセントを超えていること及び申請に係る事業の将来の見通しについて適切な収益が見込まれると判断できるものであること」を示しています(環循規発第2003301号 第1の4(6))。財務指標だけでなく、将来の見通しまでを含んだ書き方になっている点に注意が必要です。

同じ通知で、利益の判定は「原則として、過去3年間程度の損益平均値をもって判断する」とされ、自己資本比率が10パーセントを超えていない場合でも「少なくとも債務超過の状態でなく、かつ、持続的な経営の見込み又は経営の改善の見込みがあるときは、容認される余地がある」とも書かれています。単年度の数字だけで機械的に切られる仕組みではない、ということです。

岩手県の審査基準(令和7年〈2025年〉3月31日更新版)は、営業実績が3年以上ある法人について、最新決算期において①債務超過でないこと ②繰越損失が計上されていないことを求めています。これに該当しない場合は、中小企業診断士または公認会計士が作成した経営診断書(債務超過の場合)や事業改善計画書(繰越損失の場合)により、今後5年以内に健全な経営の軌道に乗ることを証明する、という組み立てです。

また、講習会の修了証にも期限があります。岩手県の審査基準では、新規許可講習は受講日から許可申請日の時点で5年、更新許可講習は同じく2年を経過していないものとされています。許可そのものの5年周期とは別に、講習の期限を管理する必要があるわけです。

運送許可 の更新でも財務が見られるかどうかは未定です。ただ、新規許可の審査では所要資金と自己資金の確保が求められており(第4回で扱いました)、更新はその審査規定を準用する構造になっています。産廃の更新で財務を見られてきた経験は、運送の更新を考えるときの手がかりにはなりそうです。

産業廃棄物を運ぶのに、 運送許可 は要るのか

ここは2026年に国が整理した論点です。令和8年(2026年)3月16日付け事務連絡「貨物自動車運送事業法における廃棄物の運送に関する取扱いについて」(国土交通省物流・自動車局貨物流通事業課長)が、次のように示しています。

この事務連絡は「解されます」という解釈の通知であり、同時に「その実態を踏まえ、各市町村や排出事業者において適切に判断」するよう求めています。契約の形が実際にどちらに当たるかは、個別に判断されるということです。岩手県の事業者の問合せ先としては、東北運輸局自動車交通部貨物課が明記されています。

なお、産廃の契約まわりの書面については「産廃収集運搬契約書のほかに書面化は必要か」で整理しています。運送側の書面化義務と産廃側の契約書は別の制度なので、あわせてご覧ください。

運送許可 が要らない自家用ダンプの範囲

2026年4月の規制強化のあと、「白ナンバーのダンプはもう使えないのか」という受け止めが広がりました。ここは事実を押さえておきます。

国土交通省は、今回の改正で許可・届出の要否や基準が変更されるものではない、と説明しています。改正貨物自動車運送事業法Q&A 問5-2は、「R8改正トラック法により、白ナンバートラックでの運送は全て違法になりますか。」という問いに対して、今回の改正により「トラック法に基づく許可又は届出の要否・基準が変更されるものではございません」と答えています(令和8年3月31日時点)。「2026年4月から白ナンバーでの運送がすべて違法になる」という理解は、この説明とは異なります。

変わったのは、委託した側の扱いです。施行日以降、違法な白トラ事業者に運送を委託した荷主等が処罰の対象となり、疑いがある場合には国土交通大臣から要請等が行われるようになりました。違反時は100万円以下の罰金や、トラック・物流Gメンの是正指導の対象となる可能性があるとされています(国交省 荷主等向けチラシ)。ここでいう「荷主等」は「元請事業者のみならず幅広く法人や個人も含まれます」と説明されています(資材・骨材関連事業Q&A 17)。

白と緑の線引き自体は、令和8年(2026年)2月10日付け事務連絡「自家用ダンプカーの貨物自動車運送事業法における取扱いについて」で文書化されました。同事務連絡は、「下記の1.(1)又は(2)のいずれかに該当し、2.の要件を具備した場合には、法の許可が不要となります」という構造をとっています。

自家用ダンプで運送許可が要らない条件。自分の貨物を自分で運ぶ、または生業と切り離せない付帯の運送で対価をもらわない場合で、かつ運転するのが自社と雇用関係にある従業員であることを示した判断フロー

図:(1)か(2)のどちらかに当てはまり、かつ運転者が自社の従業員であること。この両方が要る

読み違えやすいのは、有償性の位置です。「運送行為の対価としての有償性がないこと」は1.(2)にかかる要件で、1.(1)には課されていません。1.(1)については、自ら所有する貨物を自ら運ぶのだから運送行為の対価も発生しない、という説明の仕方になっています。

そして、1.(1)と1.(2)のどちらに当たる場合でも、2.の「雇用関係にある従業員たる運転者に運送行為を行わせること」は共通してかかります。運転者が自社の従業員でない場合、たとえば他社から人を手配して運転させるような形は、この2.を満たさないことになります。自社ダンプの使い方を確認するときは、貨物と運賃だけでなく、運転者の雇用関係まで含めて見る必要があります。

関連して、国土交通省は建設事業のQ&A 21問と、資材・骨材関連事業のQ&A 26問を公表しています(いずれも令和8年3月31日時点)。事務連絡そのものの添付ではなく、別途公表された文書です。

建設業者に効く回答をひとつだけ挙げます。自家用ダンプを建設機械の扱いとして施工体制図に記載したうえでプラント製品を運搬するケースについて、国交省の回答は施工体制図に触れず、建設工事を行っているか、雇用関係にある従業員か、運送の対価としての有償性がないか、で判断するとしています(資材・骨材関連事業Q&A 8)。書類上の位置づけではなく、実態のほうを見る、という組み立てになっています。

線引きの詳細は、既存の記事で扱っています。同じ説明を繰り返さず、こちらへ譲ります。

建設業者が更新でつまずきうる点

更新審査の運用は決まっていませんが、現行制度のなかに「建設業と兼ねているとぶつかりやすい」箇所はいくつかあります。

5両を割る減車は、認可制です

一般貨物自動車運送事業の最低車両数は、営業所ごとに種別ごとに5両以上です(東北運輸局公示第39号 Ⅰ.1(2)①)。そして令和元年(2019年)11月1日以降、変更後の車両数が5両を満たさなくなる増車・減車は、事前届出制から認可制に変わっています。

中国運輸局の案内は、5両未満となる減車について「災害、事故、故障により車両が使用不能となり、代わりの車両が確保されるまでの間のものである場合に限り認められます」とし、「経営上の都合によるものや、代わりの車両を確保する時期が未定のものは認められません」と明記しています。5両は、繁忙期だけ満たせばよい数ではなく、通年で維持する数として運用されているということです。

除雪のように季節で仕事量が大きく振れる事業を抱えていると、この点は気になるところです。ただし、除雪等の季節変動を更新審査でどう扱うかを示した一次資料は確認できませんでした。また、上記は中国運輸局の資料であり、東北運輸局管内での運用については所管の運輸支局への確認が必要です。

巡回指導の評価と違反点数は、すでに審査に効いています

東北運輸局公示第39号(平成29年9月1日制定、最終改正 令和8年4月1日 公示第5号)Ⅲ.1(3)は、増車を行う場合の審査について、次のように書き分けています。

細かい違いですが、前者は「準じた」審査で、しかも「イからハに該当する場合等、法令遵守が十分でないと認められるとき」という条件のもとに置かれています。後者は規模の拡大そのものを捉えて「による」審査としています。3つの事由が同じ重さで並んでいるわけではありません。

ここで注意していただきたいのは、これは増車・事業規模の拡大に関する審査の話であって、許可の更新審査にそのまま準用されることを示す資料はないという点です。言えるのは、巡回指導の評価と違反点数が、行政の審査で不利に働く仕組みとしてすでに制度に組み込まれている、という事実までです。

人の兼務については、資料が見つかりませんでした

運送側は「常勤」の運行管理者・整備管理者を確保する管理計画を求められ(東北運輸局公示第39号 Ⅰ.1(6)②・(7)①)、建設業側は営業所技術者等に「専任」を求めます。同一人物が両方を満たせるかどうかについて、両制度の一次資料からは直接の可否が読み取れませんでした。東北運輸局と岩手県の双方へ確認するのが確実です。

白ナンバーの側にも、やることがあります

ここまで書いてきたとおり、更新制そのものは緑ナンバーの 運送許可 を持つ会社にかかります。しかし「うちは白だから関係ない」とはなりません。

白ナンバーの建設会社が緑ナンバーの運送会社に運送を委託すると荷主になり、違法な白トラへの委託は100万円以下の罰金、再委託は2回以内に制限する努力義務がかかることを示した図

図:更新制の対象は緑ナンバー側。ただし委託する白ナンバー側にも義務がかかる

2026年4月1日に施行された部分では、委託次数の制限(元請が再委託を2回以内に制限するよう努める努力義務)と、違法な白トラ事業者への委託に対する荷主等の罰則が動き出しています。委託する側に課される義務のほうが、この数年で増えているという見方ができます。

そして本シリーズ第2回で扱ったとおり、国土交通省の資料は、荷主の求めに応じた結果として生じた違反(違反原因行為)についても、運送事業者側が更新を受けられない場合があるという図を示しています。委託先が関連会社であっても、制度上の関係は荷主と運送事業者です。委託する側が自社の 運送許可 を持たないからといって、影響がないわけではありません。

当社グループの受け止め

株式会社石名坂は、特定建設業(岩手県知事 第598号)として土木工事を行い、砕石・砂利の販売と除雪を手がけています。運搬は自家用ダンプで、一般貨物自動車運送事業の許可は持っていません。したがって、今回の許可更新制の直接の対象ではありません。

対象になるのは、関連会社の有限会社石名坂商事です。1990年(平成2年)6月に一般区域貨物自動車運送事業の免許を受けて運送業を始めた会社で、物流二法の施行はその半年後でした。免許制の時代に始まり、許可制のもとで続けてきて、これから更新制を迎えることになります。

同社は産業廃棄物収集運搬業の許可(岩手県知事 00301038485)も持っています。当初許可は平成8年(1996年)4月5日で、現在の許可は令和8年(2026年)4月19日から令和13年(2031年)4月18日までです。30年にわたり、5年ごとの更新を重ねてきた許可ということになります。「更新制」という仕組み自体は、グループの中ではすでに経験のあるものです。

とはいえ、産廃の更新と運送の更新が同じように進むという保証はどこにもありません。運送の更新は、申請様式も添付書類も審査の運用も、2026年9月9日時点では何も示されていない状態です。分かっているのは、法律に5年と書かれたことと、新規許可の審査規定を準用する構造になっていることだけです。

白ナンバーの使い方については、既存の記事で整理しています。今回の更新制についても、一次資料が出るたびに内容を追い、このシリーズで共有していきます。この記事も、その整理の一部です。

なお、本記事は2026年9月9日時点で公表されている一次資料をもとに整理したものです。許可の要否や更新の取扱いは、契約の形態と実態によって結論が変わります。個別の取扱いを確認される場合は、運送については所管の運輸支局(岩手県内の事業者であれば岩手運輸支局)、産業廃棄物については岩手県の担当課、建設業については広域振興局土木部へお問い合わせいただくのが確実です。

このシリーズの記事

あわせて読みたい

運搬・工事のご相談

石名坂は自社ダンプで砕石や残土の運搬を行っています。法令に沿った運用についてのご相談も承ります。

お電話:019-638-7521(平日8:00〜17:00)/ お問い合わせフォームはこちら

前の記事へ
お知らせ一覧へ