「 サーキュラーエコノミー 」とは?太陽光パネル大量廃棄と再生材の課題【最終回】

環境学習シリーズの最終回です。前回は、日本が化石燃料の輸入に年間25兆円規模を支払っている構造について整理しました。

最終回のテーマは「 サーキュラーエコノミー 」です。JCLPが2026年1月22日に公表した「脱炭素移行推進のためのサーキュラーエコノミー実現に向けた提言 ~太陽光パネルへの対応を契機とした循環経済モデルの構築~」を取り上げます。

一見すると当社の仕事とは縁遠いテーマに思えますが、読み進めると「再生ガラスの用途は路盤材が中心」という一文が出てきます。砕石を扱う私たちにとって、けっして無関係な話ではありませんでした。

太陽光パネルの廃棄量最大約50万トンに対し処理能力は約11万トン、ガラスが重量比62.5%、リユース率9.5%、再生ガラスの用途が路盤材に偏っていることを示した図解
太陽光パネルの廃棄量と処理能力のギャップ、そして再生ガラスの行き先が路盤材に偏っている構図

サーキュラーエコノミー とは?

サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、資源の投入・使用・廃棄を最小化し、製品や素材を最大限に循環利用する経済の仕組みのことです。

「作って、使って、捨てる」という一方通行の流れ(線形経済)に対して、使い終わったものを資源として再び使う流れをつくる考え方です。JCLPは、これが環境負荷の低減だけでなく、国内の資源自給率の向上や国内産業基盤の強化にもつながるとしています。

なぜ「太陽光パネル」が起点なのか

提言が太陽光パネルを取り上げているのには理由があります。

政府が策定した「第7次エネルギー基本計画」(2025年2月)では、2040年度に国内電源構成の4〜5割程度を再生可能エネルギーが占め、なかでも太陽光発電は23%〜29%程度と最大の割合になると見込まれています。将来のエネルギーシステムを支える重要な電源です。

一方で、太陽光パネルのサプライチェーンは海外依存度が極めて高く、供給の脆弱性が懸念されています。そのうえ、2030年代以降に使用済みパネルの大量排出が想定されています。2010年代に大量導入されたパネルが、寿命を迎えて一斉に廃棄される時期が近づいているためです。

2030年以降、廃棄量は年10万トン超。最大で約50万トン

環境省の推計として、提言は次の数字を挙げています。

最大50万トンに対して処理能力が11万トン。単純に比べれば、能力が5分の1程度しかない計算になります。施設の件数や設備導入は徐々に進んでいるものの、今後の廃棄量増加に対応できる体制が整っているとは言えない、というのが提言の見立てです。

なお、国内の太陽光発電の累積導入容量は約73.1GWと見込まれています。この規模のパネルが、いずれ順次寿命を迎えていくことになります。

リユース率は9.5%。しかも多くが海外へ

廃棄する前に、まだ使えるパネルは再び使う(リユース)。これが再資源化に先立って取り組むべき重要な手段として位置づけられています。しかし現状は厳しいものです。

国内でリユースパネルの活用が進んでいるとは言い難い状況です。提言は、発電事業者がリユースパネルの採用をためらう理由として、次の点を挙げています。

中古品を使うには、その品質を誰かが保証する仕組みが要る。それがないから使われない、という構図です。建設資材でも同じことが言えますので、この事情はよく理解できます。

再生ガラスの用途は「路盤材」— 砕石業と地続きの話

ここからが、当社にとって直接関わる部分です。

太陽光パネルをリサイクルする際、重量比で大きな割合を占めるのがガラスです。シリコン系太陽光パネルの場合、重量比でガラスは62.5%を占めます。つまり、パネルのリサイクルとは、実質的にガラスをどう循環させるかという問題でもあります。

そして提言は、こう指摘しています。

「国内でリサイクルされたガラス(再生ガラス)の用途は路盤材やグラスウール向けが中心であり、付加価値の高い用途開拓が進んでいない」

路盤材とは、道路や駐車場をつくる際に、舗装の下に敷いて荷重を支える材料のことです。当社が販売している砕石も、その多くが路盤材として使われています。道路用砕石(JIS A5001)の記事でもご紹介したとおり、粒度や強度の基準が定められた資材です。

つまり、行き場を失った再生ガラスの受け皿になっているのが、路盤材という用途なのです。提言はこれを「付加価値の高い用途開拓が進んでいない」状態として問題視しています。

さらに懸念されているのが、需要と供給のバランスです。リサイクルが促進されて再生ガラスの供給量が増えても、需要側の受け皿が限定されたままであれば、再生材の価格は上昇しにくくなります。その結果、廃棄物処理関連事業者に再資源化コストの負担が集中し、安価で処理が比較的容易な埋立処分が主流となってしまうおそれがある、という指摘です。

JCLPが求める3つのこと

提言は、政府に対して次の3点を求めています。

①リユースガイドラインの一層の高度化

環境省が公表している「太陽電池モジュールの適正なリユース促進ガイドライン」を基礎として、国が主導し、パネル製造メーカーやリユース事業者、有識者、業界団体等を参画させ、性能検査方法・性能評価基準・保証ルール等を体系的に整理・強化したガイドラインの策定を求めています。あわせて、高度化ガイドラインに基づくリユースパネルを採用した事業者へのインセンティブ制度(補助支援、税制等)の導入も求めています。

この枠組みが機能すれば、蓄電池など他のリユース製品にも横展開できる基盤になる可能性があるとしています。

②再生材市場の拡大に向けた市場形成とインセンティブ制度の整備

再生ガラスの価値がより高く取引されることで、処理事業者にとっても再資源化への投資回収が見込めるようになり、リサイクル工程全体の高度化が進む、という道筋です。

③循環スキームの構築

現行の廃棄物処理法では、許認可・監督が都道府県・市町村単位で行われ、処理事業者の多くが対応地域を限定する運用が基本となっています。これは管理責任の所在を明確にし、地域密着型の適正処理を確保するうえで有効な仕組みです。

一方で、今後増加する廃棄パネルを効率的かつ高度に処理するには、広域的に量を確保する必要があります。そこで提言は、全国規模での回収ネットワーク構築と、全国各地に設置された再資源化処理拠点での集中的・効率的な処理を可能とする制度的枠組みの創設検討を求めています。あわせて、保管期限や廃棄物の定義が整合しない部分について、対象を新しいカテゴリー(例:資源物)で明確化したうえで、現行法の特例的な措置を講じることも検討課題としています。

砕石業の立場から考えたこと

この提言を読んで、当社として考えたことが2つあります。

ひとつは、再生材と路盤材の関係です。当社は再生砕石も扱っています。コンクリート塊などを破砕して再び路盤材として使う資材で、資源循環そのものの仕事です。提言が「路盤材は付加価値が低い用途」と位置づけているのは、あくまで再生ガラスの出口が路盤材しかないことへの問題提起であって、路盤材という用途そのものを軽んじる趣旨ではないと理解しています。

とはいえ、道路の下に敷かれる材料が、社会全体の資源循環の「最後の受け皿」になっているという指摘は、考えさせられるものがあります。品質を確保したうえで再生材を適切に使っていくことは、私たちの仕事の中でできる循環への貢献です。

もうひとつは、地方の処理体制です。都道府県によっては対応可能な処理施設が存在しない、という指摘がありました。岩手のように面積が広く、施設が偏在しやすい地域では、運搬距離の問題が処理コストに直結します。運搬を担う立場としても、どこに何を運ぶ体制ができるのかは、今後注視していきたい点です。

シリーズを終えて

全4回にわたり、JCLPの提言を通じて企業の気候変動対策を見てきました。IES(いわて環境マネジメントシステム)ステップ1の取得をきっかけに始めた学習でしたが、調べてみると、いずれのテーマも当社の仕事と接点がありました。

環境の取り組みは、コストがかかるばかりで自社には関係ない、と考えられがちです。しかし調べていくと、燃料費、車両の更新、仕事量、資材の扱いといった、日々の経営判断と地続きの話であることがわかりました。

当社はIESステップ1を取得したばかりで、これから環境改善活動を積み重ねていく段階です。大きなことはできませんが、燃料の使い方を見直す、廃棄物を分別する、再生材を適切に活用するといった、足元でできることから続けてまいります。

まとめ

砕石・砂利・再生砕石のご用命、土木工事や除雪のご相談は、TEL:019-638-7521までお気軽にお問い合わせください。

参考・出典

※本稿は上記資料に基づく時点情報です。太陽光パネルのリサイクルに関する制度は現在も設計が進められており、今後内容が変更される可能性があります。最新の情報は各省庁の公式発表をご確認ください。

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