「 2050年の気候変動 」予測は?岩手と建設現場への影響をわかりやすく解説

「2050年には気候がどうなっているのか」という話題を耳にする機会が増えました。当社はIES(いわて環境マネジメントシステム)ステップ1の認証を取得し、環境の取り組みを進めているところです。そこで今回は、公的機関が公表している気候変動の将来予測を調べ、盛岡・岩手で土木工事と砕石業を営む立場から整理してみました。

結論から申し上げます。予測の多くは「21世紀末」を見通したものですが、2050年前後という時間軸でも、大雨の激化と暑さへの備えはすでに制度側で動き出しています。治水計画の前提となる降雨量は引き上げられ、現場の熱中症対策は法的義務になりました。遠い将来の話ではなく、日々の施工計画に関わる話です。

2050年の気候変動予測を示した図解。岩手県の2℃上昇シナリオと4℃上昇シナリオの気温・夏日・冬日の変化、降雨量1.1倍・流量1.2倍・洪水頻度2倍の試算、WBGT28℃以上での熱中症対策義務化を図示
2050年に向けた気候変動の予測と、建設現場に関わる制度の変化

世界全体の見通し — 1.5℃はいつ超えるのか

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書では、世界平均気温は工業化以前と比べてすでに約1.1℃上昇しており、2030年代前半には1.5℃に達する可能性が高いとされています。

将来予測は「2050年にこうなる」と一点で示されるものではなく、今後の温室効果ガス排出量に応じた複数のシナリオで示されるのが一般的です。日本の予測でよく使われるのが次の2つです。

2050年ごろの姿は、この2つの間のどこかに位置すると考えるとイメージしやすくなります。なお国土交通省は治水計画の検討にあたり、2040年ごろまでに平均気温が2℃上昇するという想定で試算を行っています。

日本全体の予測 —「日本の気候変動2025」

文部科学省と気象庁は2025年3月27日に「日本の気候変動2025」を公表しました。日本の年平均気温は長期的に上昇しており、その上昇率は世界平均よりも高いと報告されています。21世紀末の予測として、次のような数値が示されています。

「100年に1回」の大雨が100年に約2.8回になるということは、同じ規模の大雨が3倍近い頻度で起こるという意味になります。

岩手県の将来予測

岩手県が公表している「いわての気候の将来予測」では、20世紀末(1980〜1999年平均)と21世紀末(2076〜2095年平均)を比べた数値が示されています。

また東北地方全体では、1時間降水量30mm以上の年間発生回数が20世紀末と比べて、2℃上昇シナリオで約1.7倍、4℃上昇シナリオで約3.1倍になると予測されています。

岩手は寒い土地だから暑さとは無縁、とは言えなくなります。夏が長くなり、冬が短くなり、雨の降り方が変わる。これが予測の要点です。

影響① 治水計画は「降雨量1.1倍」へ見直し済み

土木の仕事に最も直接的に関わるのが、河川の計画の見直しです。国土交通省の「気候変動を踏まえた治水計画のあり方 提言」(令和元年10月、令和3年4月改訂)では、次の試算が示されました。

これを受け、治水計画は過去の実績降雨ではなく、将来の気候変動を織り込んで立てる方式へ転換しました。過去の実績をもとに計画を立てると定めた1958年以来の大きな方針転換とされています。

現場の立場でいえば、排水断面や側溝の設計、法面の保護、路盤の排水など、水を扱う設計条件が今後さらに厳しくなる方向にあるということです。災害復旧や河川改修の工事量にも関わってきます。

影響② 熱中症対策は2025年6月から法的義務

2025年6月1日、改正労働安全衛生規則が施行され、職場の熱中症対策が罰則付きの義務になりました。対象となるのは、次の条件に当てはまる作業です。

事業者に求められるのは、熱中症のおそれがある作業者を早期に見つけるための報告体制の整備、悪化を防ぐための処置・搬送手順の作成、そしてそれらの関係者への周知です。

背景には、職場の熱中症被害の深刻化があります。2024年の職場での熱中症による死傷者数は1,257人と過去最多、うち死亡者は31人で、建設業の死亡者10人が業種別で最多でした。屋外で身体を使う仕事である以上、暑さは避けられません。先ほどの予測どおり夏日が増えていけば、この負担はさらに増します。

影響③ 冬が短くなることの意味

岩手の予測で気温の上昇幅が最も大きいのは冬でした。冬日は2℃上昇シナリオでも約21日減る見通しです。

当社は除雪・排雪も手がけていますので、冬の期間や降雪のあり方が変わることは、仕事の量や体制に関わってきます。ただし、平均気温が上がることと大雪がなくなることは同じではありません。気温が上がれば大気中の水蒸気量は増えるため、降る回数は減っても一度に多く降るという形の変化も考えられます。雪が減るから楽になる、と単純には言えないと受け止めています。

「緩和」と「適応」の両輪

気候変動への対策は、大きく2つに分けて考えられています。

治水計画の見直しや熱中症対策は適応策、燃料使用量の削減や車両の電動化は緩和策にあたります。当社が取り組んでいるIES(いわて環境マネジメントシステム)は緩和策の側ですが、日々の現場運営はすでに適応の連続でもあります。作業時間の前倒し、休憩の確保、雨天時の段取り替え。呼び方が新しいだけで、やっていることは以前からの安全管理と地続きです。

まとめ

砕石・砂利・再生砕石のご用命、土木工事や除雪のご相談は、TEL:019-638-7521までお気軽にお問い合わせください。

※本稿は公表資料に基づく時点情報です。気候変動の予測は研究の進展により更新され、関連する制度も見直しが続いています。今後内容が変更される可能性がありますので、最新の情報は各機関の公式発表をご確認ください。

参考・出典

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