「 予算編成 」何が変わる?骨太方針2026とこれまでの違いを比較解説
「予算編成」という言葉は聞いたことがあっても、それが年々どう変わっているかまでは分かりにくいものです。令和8年(2026年)7月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太方針2026)では、これまでの予算編成のやり方そのものを見直す方針が示されました。本稿では、従来の予算編成と何がどう違うのかを比較しながら解説します。

これまでの予算編成はどんな仕組みだった?
これまでの国の予算編成は、各省庁が前年度の予算を基準にした「シーリング」(要求上限枠)の範囲内で概算要求を行う方式が基本でした。予算は単年度ごとに組むのが原則で、複数年にまたがる支出は基金などの例外的な手法に頼らざるを得ませんでした。また、当初予算では歳出を一律に抑える一方、恒常的な施策も含めて毎年のように大型の補正予算で追加措置するという構図が続いてきました。財政運営の目標としては、基礎的財政収支(PB)の単年度での黒字化が主に重視されてきました。
何が変わる?①歳出総額の決め方
これまでは、物価や賃金の変動とは切り離して、前年度予算を基準に一律で抑制する編成が続いてきました。骨太方針2026では、物価・賃金上昇、名目の経済規模、歳入見通し、政策効果、財政目標との整合性を踏まえて歳出総額を設定する方針に転換します。デフレ時代の抑制型予算から、経済の成長力強化と名目の経済規模拡大にふさわしい予算編成への切り替えです。
何が変わる?②概算要求の上限(シーリングの扱い)
これまでは、どの施策であってもシーリングという上限枠の中で要求するのが基本でした。骨太方針2026では、17の戦略分野などに関わる真に効果的な成長投資については、シーリングを設けることなく、事項要求も含めて必要額を要求できるようにするとしています。投資すべき施策については、上限にとらわれず柔軟に要求できる仕組みへの見直しです。
何が変わる?③単年度主義から複数年度の予算措置へ
これまでの予算は単年度が原則で、民間企業にとっては来年度以降の予算がどうなるか見通しにくいという課題がありました。骨太方針2026では、複数年度の計画に基づく予算措置を基本とする方針を打ち出しています。予算措置を原則3年以内とする現行の基金ルールについても不適用とするなど、抜本的な見直しを進め、民間投資の予見可能性を高めることを狙いとしています。
何が変わる?④補正予算の位置づけ
これまでは、恒常的な施策であっても大型の補正予算で措置することが常態化していました。骨太方針2026では、補正予算は緊要性の高いものに限定し、恒常的な施策については原則として当初予算で措置する方針へと転換します。当初予算をきちんと組み、補正頼みの財政運営から脱却する狙いです。
何が変わる?⑤財政運営の目標
これまでは、基礎的財政収支(PB)の単年度黒字化が主な目標とされてきました。骨太方針2026では、国・地方の債務残高対GDP比の安定的な低下を中核の目標に据え、PBについては、この目標と整合するよう複数年で確認・管理していく指標という位置づけに変わります。単年度のPB収支だけにとらわれない、より柔軟な財政運営への転換といえます。
何が変わる?⑥投資の別枠管理
これまでは、歳出はほぼ一律に抑制すべき対象として扱われてきました。骨太方針2026では、リスクを最小化する「危機管理投資」と、先端技術を育てる「成長投資」を、通常の歳出とは別枠の『「強く豊かな日本」投資枠』として管理し、予算編成・財政運営に明確に接続する仕組みを新設します。経済安全保障上特に重要な分野などは、特別会計でさらに別枠管理する方針です。
まとめ
骨太方針2026における予算編成の見直しは、一言でいえば「前年度実績を基準にした一律抑制」から「物価・賃金・成長力を反映した総額設定と、複数年度の予見可能性の確保」への転換です。シーリングの扱い、単年度主義、補正予算依存、財政目標のいずれも、これまでの慣行を見直す内容になっています。今後、実際の予算編成にどう反映されていくか、継続して注目していきたいと考えています。
なお、骨太方針は閣議決定された政府の基本方針ですが、記載されている個々の制度設計や運用の詳細は、今後の予算編成過程や法案審議、経済財政諮問会議での議論等を経て具体化されるものです。本稿は令和8年7月21日時点の内容に基づく解説であり、今後の議論の進展により内容が変更される可能性がある点にご留意ください。


