【活動報告】 交通安全講話 を開催|黒川地区道路愛護会・盛岡東警察署(令和8年8月6日)
令和8年8月6日(木)、黒川地区道路愛護会で 交通安全講話 を開催しました。講師は盛岡東警察署 乙部駐在所の中塚巡査部長です。岩手県内・盛岡東署管内の交通事故の現状に加え、「特別な運転ミス」ではなく、普段の生活の中で誰もが行っている運転操作こそが事故につながりやすいという点を、具体的な事例を交えて教えていただきました。本記事では、当日の講話の要点をご報告します。
岩手県内の交通事故は「異常なほど多発」している
講話はまず、岩手県内の事故状況の共有から始まりました。令和7年中の人身交通事故は、発生件数1,587件(前年比+196件)、傷者数1,934人(同+234人)、死者数39人(同+11人)。発生件数と傷者数の増減率は全国ワースト1位、死者数の増減率も全国ワースト4位という結果でした。8月中に10人、12月中に7人が亡くなっています。
令和8年に入ってからも増加傾向は続いており、6月22日現在で発生件数751件(+29件)、死者数26人(+16人)、傷者数908人(-3人)。死者数の増加率は160%で全国ワースト1位となっています。「事故件数が激増した昨年よりもさらに激増中。人も、車も、自転車も、緊張感を持って安全確認を」との呼びかけがありました。
令和7年の死亡事故37件・死者39人の内訳では、高齢者が25人(死者全体の64.1%)を占めています。類型別では人対車両15件(うち道路横断中10件)、車両相互11件(うち正面衝突6件)、車両単独11件(うち工作物衝突7件)。状態別では歩行者15人(うち横断歩道横断中5人)、車両運転中14人という状況でした。
事故は「認知・判断・操作」の誤りで起きる
講話の中心となったのが、運転の3要素「認知・判断・操作」の考え方です。運転は、危険を認知し(危ないかも、横断してくるかも…)、とるべき行動を判断し(ブレーキを踏もう、ハンドルを切ろう…)、実際に操作する(ブレーキ、ハンドル操作)というサイクルの繰り返しで、このどこかに誤りがあったときに事故が発生します。
- 認知ミス:約80%(危険を適切に認知できていない)
- 判断ミス:10%強(とるべき行動を判断できていない)
- 操作ミス:10%弱(ブレーキ等を適切に操作できていない)

事故の原因として思い浮かべやすいのはハンドルやブレーキの操作ミスですが、実際には約8割が「認知」の段階でつまずいています。つまり、運転技術そのものよりも、「見ていたつもり」「いないと思った」という日常的な思い込みが、事故の入り口になっているということです。
横断歩道は歩行者優先(チェック・ストップ運動)
岩手県内では「横断歩道チェック・ストップ運動」が実施されています。内容は次の2点です。
- 【チェック】横断歩道を通過する際は、横断歩道の直前で停止できる速度に減速し、横断歩道とその周りをよく確認する
- 【ストップ】横断中の歩行者はもちろん、横断しようとしている歩行者がいる場合は必ず停止する
これは運動である以前に、道路交通法38条第1項に定められた義務です。横断歩道等に接近する場合は、直前(停止線)で停止できるような速度で進行しなければならず(前段。歩行者がいないことが明らかな場合は除く)、横断中または横断しようとしている歩行者等があるときは、直前で一時停止し、通行を妨げてはならない(後段)とされています。令和7年の死者39人のうち歩行者は15人、そのうち5人は横断歩道を横断中の事故でした。
一時停止は「止まれば良い」わけではない
一時停止についても、道路交通法43条をもとに解説がありました。まず、一時停止標識がある交差点では、その交差点の(停止線の)直前で一時停止しなければなりません(前段)。そのうえで、交差道路を進行する車両等の進行妨害をしてはならない(後段)と定められています。ここでいう進行妨害とは、交差道路の車両等に急ブレーキや急ハンドルをさせた場合などを指します。
つまり、形だけ止まって左右を見ずに発進すれば、一時停止したことにはならないという指摘です。停止したうえで交差道路の左右を確認し、相手に急な操作をさせない形で進むところまでが一時停止と考えたほうがよさそうです。
あわせて、道路交通法42条が定める徐行すべき場所も確認しました。①道路標識等によって指定された場所、②左右の見通しのきかない交差点(信号交差点、優先道路は除く)、③道路の曲がり角付近、④上り坂の頂上付近、⑤勾配の急な下り坂、の5つです。
なお、②の例外となる「優先道路」については、道路標識等によって指定された道路(岩手県内には存在しません)か、中央線・車両通行帯が交差点の中まで連続して引かれている道路が該当します。交差点内で中央線が途切れている場合は優先道路ではないため、見通しの悪い交差点では徐行が必要になります。自分が走っている道路が優先かどうかを、交差点内の線の引かれ方で判断できるかどうかがポイントです。
本当によくある事故事例|左折時・住宅街・駐車場
講話では、日常の中で起こりやすい場面が具体的に示されました。
- 左折時(車 対 自転車):交差する道路へ左折しようとするとき、右側から来る車に注意が向き、左側の歩道を進んでくる自転車を見落として衝突する。右を見ている間に、左からの接近を認知できていない状態
- 住宅街の見通しの悪い交差点:塀やブロックで視界がさえぎられ、歩道から自転車が飛び出してくる。「来るかもしれない」と予測して速度を落とせるかどうかで結果が変わる
- 駐車場:前向き駐車は、駐車自体は簡単でも、出るときに後方の見通しが悪く安全確認がしにくい。後ろ向き駐車は、入れる前に駐車場所と周囲を十分確認でき、出るときの視界も広く取れる
いずれも、特別な状況ではなく、通勤・買い物・現場への行き帰りで日常的に通る場面です。事故につながるのは特殊な運転ではなく、普段どおりの運転操作の中にある確認不足である、という点が繰り返し強調されました。
飲酒運転は「ほぼ毎日」検挙されている
飲酒運転についても説明がありました。岩手県内の飲酒運転検挙は令和8年6月末現在で165件、うち自転車が31件。件数から見ると、県内ではほぼ毎日どこかで検挙されている計算になります。
- 酒酔い運転:違反点数35点/5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 酒気帯び運転:呼気1リットル中のアルコール濃度0.25mg以上で25点、0.15mg以上0.25mg未満で13点/3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
処罰の対象は運転者だけではありません。同乗者、車両提供者、酒類提供者も厳しく処罰されます。実際に、飲酒運転をすると知りながら自転車を貸した盛岡市の女性が、道路交通法違反(車両提供)で検挙された事例が紹介されました。
事故を起こしたときに何が起きるか
交通事故を起こすと、刑事(刑罰、実況見分や取調べへの対応)、民事(損害賠償や相手方への対応)、行政(免許の停止・取消、免許の色、有効期間・講習時間・費用の変化)という3つの面から生活に影響が及びます。事故そのものだけでなく、その後の負担が長く続くという点も押さえておきたいところです。
また、万一事故を起こした場合の義務についても確認がありました。救護措置義務(道路交通法72条1項前段)として、直ちに運転を停止し、負傷者を救護し、道路における危険を防止する措置を講じる必要があります。措置を講じない場合は「ひき逃げ」として処罰され、点数35点(免許取り消し、欠格期間3年)、罰則は10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
あわせて報告義務(同72条1項後段)があり、発生日時・場所、死傷者の数と負傷の程度、損壊した物と程度、事故車の積載物、講じた措置を警察に報告しなければなりません。報告をしない場合は「あて逃げ」として、3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金の対象となります。
まとめ
今回の 交通安全講話 を通じて、事故の約8割が「認知」のミスから始まっていること、そしてその認知ミスが、左折時の巻き込みや見通しの悪い交差点、駐車場からの発進といった、日常のごく当たり前の場面で起きていることを、あらためて確認できました。県内の事故が増加傾向にある今、「いつも通っている道だから」という感覚こそ、見直すべき点なのかもしれません。
石名坂では、ダンプによる運搬・配達をはじめ、日々の業務で多くの車両が地域の道路を走行しています。地域の道路を預かる立場として、今回学んだ内容を社内での安全運転指導にも活かし、引き続き無事故・無違反に努めてまいります。ご多忙のなか講師をお務めいただいた盛岡東警察署 乙部駐在所の中塚巡査部長に、あらためて御礼申し上げます。
※本稿の事故件数等は、講話で示された令和8年8月6日時点の資料に基づく内容です。統計の確定や集計時点の更新により、数値が変わる場合があります。


