日本の「 潜在成長率 」はなぜ低い?骨太方針2026の国際比較データで解説

日本の「潜在成長率」は2025年時点で0.4%。米国2.3%、英国1.3%、フランス1.1%、ドイツ0.6%と比べても、主要先進国の中で最も低い水準にあります。令和8年(2026年)7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太方針2026)の政策資料では、この差がどこから生まれているのかを示す国際比較データが公表されました。本稿では、その内容をもとに、日本の潜在成長率がなぜ低いのかを解説します。

日本の潜在成長率が低い理由を示す国際比較インフォグラフィック
日本の潜在成長率、主要先進国との比較

そもそも「潜在成長率」とは?

潜在成長率とは、労働力や設備、技術などその国が持つ生産要素をすべて無理なく活用した場合に実現できる、中長期的な経済成長率の目安です。景気の波に左右される実際の成長率とは異なり、その国の「地力」を示す指標として使われます。この数値が低いということは、短期的な景気対策だけでは解決しない、構造的な成長力の弱さを意味します。

数字で見る日本の低迷

2025年の潜在成長率を国際比較すると、米国2.3%、英国1.3%、フランス1.1%、ドイツ0.6%、日本0.4%という結果になっています。日本は主要先進国の中で最下位に位置しており、特に米国との差は約6倍にのぼります。この差は一朝一夕に生まれたものではなく、長年にわたって積み重なってきたものです。

なぜ差がついた?①官民投資の長期停滞

2000年を100とした官民投資(実質総固定資本形成)の推移を見ると、2025年時点で米国176、英国172、フランス136、ドイツ114に対し、日本は100とほぼ横ばいです。この25年間、他の主要先進国が投資を着実に積み増してきた一方で、日本はスタート地点からほとんど投資を増やせなかったことになります。潜在成長率を分野別に分解しても、資本の伸びが日本の弱さとして表れており、投資不足がそのまま成長力の弱さに直結している構図が見えてきます。

なぜ差がついた?②デフレによる投資・イノベーション抑制

投資が伸びなかった背景として、長年のデフレにより、企業や家計に「物価も賃金も上がらない」という固定的な見方が定着し、国内投資やイノベーションが抑制されてきたことが挙げられます。この結果、資本ストックの伸びが低迷しただけでなく、科学技術力・産業競争力・人材力といった、成長を支える質的な基盤そのものが弱くなっている点が課題として指摘されています。

骨太方針2026はどう対応する?

こうした現状認識を踏まえ、骨太方針2026では「責任ある積極財政」のもと、政府が一歩前に出て官民で投資を進める方針を掲げています。AI・半導体、量子、防衛産業、創薬など「17の戦略分野」を中心に国内投資をてこ入れし、2040年度までに累計370兆円超の官民投資を想定。あわせて、経団連が目指す2040年度に250兆円(名目)の国内投資という官民目標とも連携しながら、投資不足の流れを断ち切ることを狙いとしています。

まとめ

日本の潜在成長率0.4%という数字は、長年の投資不足とデフレ的な物価・賃金観の固定化が積み重なった結果です。骨太方針2026は、この構造的な課題に官民連携の大型投資で正面から向き合おうとするものですが、実際に成長率が改善するかどうかは、投資が計画どおりに実行されるかにかかっています。今後の進捗にも注目していきたいと思います。

なお、骨太方針は閣議決定された政府の基本方針ですが、記載されている個々の制度設計や運用の詳細は、今後の予算編成過程や法案審議、経済財政諮問会議での議論等を経て具体化されるものです。本稿は令和8年7月21日時点の内容に基づく解説であり、今後の議論の進展により内容が変更される可能性がある点にご留意ください。

経済財政運営と改革の基本方針2026

前の記事へ戻る
次の記事へ戻る
前のページへ戻る