【解説】 特定荷主 の制度とは?基準や対象企業の義務まとめ
物流業界の法改正に伴い、「 特定荷主 (とくていにぬし)」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、「そもそも特定荷主とは何か?」「自社が対象になるのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。この記事では、特定荷主の制度の概要や、対象となる基準、発生する義務についてわかりやすく解説します。

特定荷主(とくていにぬし)の制度とは?
特定荷主とは、自社の事業のために一定規模以上の貨物輸送を物流業者に依頼している「影響力の大きな企業」のことです。
現在、トラックドライバーの不足や労働環境の悪化といった「物流の2024年問題」が深刻化しています。
これを解決するためには、運送会社だけでなく、荷物を依頼する側(荷主)も協力して物流を効率化しなければなりません。
そのため、国は物流に対して大きな影響力を持つ企業を「特定荷主」として指定し、物流改善への取り組みを法律で義務付けています。
特定荷主に指定される「基準」は?
特定荷主の基準は、主に「改正物流総合効率化法」と「省エネ法」の2つの法律で定められています。
以下のいずれかに該当すると特定荷主となります。
1. トラックでの輸送量が「年間9万トン以上」
改正物流総合効率化法(2026年度本格始動)では、**「前年度にトラックで輸送した貨物の総重量が9万トン以上」**の企業が特定荷主に指定されます。
土木や建築資材、砕石など、重量の大きい製品を大量に扱う企業は対象になりやすい傾向があります。
2. 年間の貨物輸送量が「3,000万トンキロ以上」
省エネ法では、**「前年度の輸送量が3,000万トンキロ以上」**の企業が対象です。
※トンキロとは、「貨物の重量(トン)× 輸送距離(キロメートル)」で算出される単位です。
特定荷主に指定されると発生する「3つの義務」
特定荷主に該当した場合、国に対して以下の対応を行う義務が発生します。
① 物流統括管理者(CLO)の選任
社内で物流改善の責任者となる「物流統括管理者(CLO:Chief Logistics Officer)」を選任する必要があります。
形だけの担当者ではなく、役員などの経営幹部クラスから選任することが求められます。
② 中長期計画の作成・提出
「荷待ち時間の削減」や「積載率の向上」など、物流を効率化するための具体的な中長期計画を作成し、国(主務大臣)へ提出しなければなりません。
③ 定期報告の提出
毎年1回、前年度の貨物輸送量や、中長期計画の進捗状況を国へ定期報告する義務があります。
取り組みが不十分な場合は、国から勧告・命令を受けたり、最大100万円の罰金が科せられる可能性があります。
まずは自社の輸送量の把握から始めましょう
特定荷主の制度は、「自社が基準(9万トンなど)を超えているかどうか」を正確に把握することから始まります。
まずは昨年度の輸送実績を算出し、自社が該当するかどうかをチェックするところから準備を進めていきましょう。
詳しくは⇒荷主向け!物流効率化法の概要 (経済産業省のページ)


